自由降下式全閉囲型救命艇
自由降下式(フリーフォール)救命艇とは
フリーフォール救命艇は、母船の船尾部に傾斜角度30~35度で搭載されています。艇の船尾部に取り付けられた離脱装置を艇内から操作することにより、海面へ目がけて自由落下する方式で離脱します。
従来型救命艇に比べ、荒天時においても落下作業を安全かつ迅速に行うことが可能です。
フリーフォール救命艇は、2006年7月1日に改正されたSOLAS条約第Ⅸ章に要求されるバルクキャリアに搭載することが強制化されました。
その背景としては、バルクキャリアは比重の異なる荷物を積載していることが多く、波の影響などにより万が一船体に損傷を受けた場合、沈没までのスピードが速いことから、安全かつ迅速に脱出できるフリーフォール救命艇が最適であると考えられました。
フリーフォール救命艇は、全閉囲型救命艇が持つ特性に加え、フリーフォール救命艇としての規則の要求を満足させた救命艇です。
落下高さの1.3倍の高さからの落下に耐え得る十分な強度を必要とするため、船首部の形状には特徴があり、その強度及び安全性を追求した船型です。
なお、フリーフォール救命艇は、本船から海面へ目がけて自由落下するため、定員は船尾ハッチより乗り込み、操縦者以外は船尾向きに着座することで落下時に人体に掛かる衝撃を極力抑えるよう考慮されています。